ハレ街メディアでは、未来のハレを創り出す挑戦者たちの物語を発信しています。今回は、フラット35の代理店事業やライフサポート事業など、住宅ローン媒介事業を手掛けるFBモーゲージ株式会社(埼玉・さいたま市)代表取締役社長の根石 高宏氏に取材を実施。住宅購入や住宅ローンに関する考え方、創業への思い、そして社長が考える「ハレノヒ」についてお話を伺いました
(聞き手:ハレノヒハレ 稲葉 晴一 編集:ライフメディア 岸のぞみ)

住宅ローン専門のプロフェッショナルとしてお客様の人生に寄り添う
まずは御社の事業内容について改めて簡単にお聞かせください。
根石 高宏氏(以下、根石氏):住宅購入時の相談・交渉・審査サポートをワンストップで行っています。わかりやすいのが創業時から続けているフラット35の専門代理店事業。住宅購入時にはローンを組まれる方が多いと思いますが、個人事業主の方や経営者の方で借り入れがあったり、会社員でも勤続年数が短かったりする場合、銀行ローンの審査が下りないことがあります。フラット35は最長35年間組める住宅ローンで、金利と返済額が申し込み時に確定するサービスです。ローンの審査が下りにくい方にはこのような形で最適なプランをご提案しています。
御社の強みについてもお聞かせいただけますでしょうか。
根石:当社はもともとフラット35の専門代理店として事業をスタートしましたが、6年前から住宅ローン媒介事業を始めました。銀行のローンの審査が下りなかった場合に、フラット35をお勧めする。フラット35でも難しかった場合には私たちが直接銀行に交渉するというサービスです。
フラット35の代理店は全国に100社ほどありますし、不動産会社で融資の担当窓口がある会社もたくさんありますが、住宅ローンそのものを専門で取り扱っている事業者はあまり多くありません。住宅ローンの媒介サービスについて関東財務局や金融庁に届け出を提出し、事業として手掛けていることが当社の大きな強みとなっています。これまでに1万件以上の住宅ローン成約実績があります。
センター試験の1週間前に大学受験をやめ、役者の道へ
そもそも不動産業界に入ろうと思ったきっかけは何ですか。
根石氏:実はすべての原点はドラマ「踊る大捜査線」にあるんです。高校生のときに織田裕二さん演じる青島俊作刑事に出会い、泥臭く人間味があって仲間を大切にする青島刑事に強く共感し、憧れを抱きました。高校は進学校に通っていたので当然大学進学を目指していましたが、センター試験1週間前に急遽進学の道から方向転換することを決め、芝居の道へと進んでいきました。
24歳まではやりたいことをやろうと決めて、芸能プロダクションに所属。ドラマ「白い巨塔」のエキストラをはじめ、映画やVシネマなどにも出演しましたが、なかなか芽が出ませんでした。オーディションではいつもひどい言われようで、「見る目がないな(笑)」なんて思っていましたが、24歳で芝居の道は諦め、裏方に回ることを決めました。
“モーニング娘。”か“演歌歌手”かの二択で悩みましたが、「日本人なら演歌歌手だろう」と思い、演歌歌手のマネージャーに転身。音合わせ、リハーサル、運転手、食事・宿泊先の手配、ギャラの交渉、営業活動など何でもこなしました。まさに、「事件は現場で起きている!」と実感する充実した日々。一番好きだと思えた仕事でもありましたが、「もっと広く深く、人の人生に関わっていきたい」と考え、4年半のマネージャー人生に終止符を打ち、マンション販売業者への転職を決めました。
不動産業界に足を踏み入れた根石社長。フラット35との出合いは?
根石氏:困っている方の手助けをするのが性に合っていたので、人生最大のお買い物である住宅購入に携われることは大きなやりがいでした。ところがある日、勤続年数が半年ほどという20代の若いご夫婦が店舗にいらっしゃったことがありました。上司には「お客さんにならないから帰ってもらうように」と言われましたが、私はお客様にお帰りいただいた後も納得できずにいました。
数日後、ある銀行の担当者に、当時まだあまり主流ではなかったフラット35というサービスがあることを教えてもらいました。固定金利の住宅ローンで勤続年数や雇用形態が審査に影響しづらく、2世代での返済やセカンドハウスでも融資可能だと知り、ご夫婦に電話をしてみました。ところがご夫婦の来店から時間が経っていたこともあり、うまくいきませんでした。このとき、「上司ではなく、目の前の困っている人のために諦めずに最善を尽くす人間でありたい」という考えを強くし、フラット35の代理店であるSBIモーゲージ(現SBIアルヒ)へと転職を決めました。
その後、独立されるまでの経緯についてもお聞かせください。
根石氏:書類上は難しいと思える方にも「面談の場」を大切にして話を聞く「現場主義」と、ローンが通らなくても諦めずに何とか方法を模索する営業スタイルが認められ、不動産会社からも案件を相談されるようになりました。気が付けば全国のフラット35代理店の中でトップの営業成績に。「ローンを組めない人はいない」という自信に繋がるとともに、「フラット35以外のより良いサービスがあるのであれば、それも提供できる存在になりたい」と考え、35歳の時、2015年9月1日にFBモーゲージを立ち上げました。
電話番号の末尾も3535、クルマのナンバーも3535。フラット35への愛はひとしおですし、実際に年間1500件の成約も実現してきました。一方で、フラット35の契約に留まらない住宅ローン媒介事業にも力を入れ、不動産業者の不正に巻き込まれたご家族のローンが下りなかったときにはご家族の身の潔白を証明することまで請け負うなど、徹底したサービスを心がけてきました。
創業10年、これまで個人事業主で事情のある方、年齢的に敬遠されてしまう方、有名人、ユーチューバー、猫と一緒に1人暮らしをしたい男性など、さまざまな事情を抱えてローンに苦労されているお客様に寄り添い、伴走してきました。多くの方に感謝の言葉をいただき、中には涙を流して喜んでくれた方もいらっしゃいます。

売り上げ44割減からのV字回復で、「いま」がいちばんのハレの日!
今に至るまでに経営の面で苦労された時期はありましたか。
根石氏:創業から順調に来ていましたが、フラット35の住宅ローン全体に占める割合が大きく減少し、5年ほど前に売り上げ4割減となったことがありました。低金利が売りのフラット35ですが、変動金利の商品も低金利が続き、銀行のローン審査が緩くなったことが原因でした。
また、売り上げが好調だった頃に住宅ローンのAI診断といった新たなサービスの導入を検討していましたが、本格導入に時間がかかり、リスクヘッジできる新サービスを実現できなかったことも敗因の一つとなりました。
人が好きで芝居を始め、その結果今があると思っていたので、絶対にリストラはしたくなかった。人を大切にできなければ今後の自分のビジネスも絶対にうまくいかないと思いました。
そこで、次世代型住宅購入サービスである「スムカウ」をローンチすることに決めました。金融機関や不動産業者との交渉を我々がすべて無料で代行するというサービスです。物件ありきではなく、ローンの借り入れ額や最適な営業担当者を検討しながら無理のない住宅購入に導く、住宅ローンのプロフェッショナルサービスです。ずっとやりたかったサービスをようやく本格的に形にすることができ、1~2年前、最も売り上げが厳しく他社も身動きの取れなかった時期に先手を取れたことでV字回復を果たすことができました。
そんな根石社長にとって、これまでで一番の「ハレの日」はどのような日でしたか?
根石氏:今ですね! 入社以来ずっと働いてくれている社員もいますし、新しいサービスにも挑戦しながらやりがいを持って仕事に取り組んでくれています。
今日(取材日)の空は雲一つない快晴です。今日の空を人生に例えるとどのようなものになりますか?
根石氏:こういう晴れの日を築いていきたいと思うような青空ですね。こんな晴れの日のような明るい未来のイメージを持ってもらえたらと思っています。
実は僕自身は雨男なんですよね(笑)。初出社、独立、初の大型商談など「初」の付く日はだいたい嵐でした。でも僕の中では「雨降って地固まる」とも思っており、雨の次は晴れが来るとも思っているので、雨の日でも今日のようなこんな晴れをイメージできる人間でありたいと思っています。
会う人会う人、みんなに「なんでそんなに明るくできるの?」と聞かれるんですよ。でも「トップが暗い顔をしていて何か良い効果が生まれるの?」と思いますし、米国の不動産業界をしっかりと分析しながら明るい未来予想図は描けています。だから実際に未来は晴れやかに明るいと思っているんですよ。
そんな未来の晴れを実現するために最も大切にしていること、そして今後の展望についてお聞かせください。
根石氏:最も大切にしていることは、諦めないこと。お客様のために、最大の労力を惜しまないことです。住宅ローンの観点から不動産業界を変えていきたい。閉鎖的な業界ではあるけれど、変えていけることはたくさんあると思っているので、業界に風穴を開けていきたいと思っています。

取材を終えて 撮影小話
稲葉:去年共通の経営者に繋いでいただき、はじめて根石社長とお会いして1年が経ちました。住宅は人生の中でいちばんの買い物で、30~40年もの間、返済を続ける商品です。それなのに専門家への相談を飛ばして住宅販売会社に言われるままに契約する、という消費者がまだまだ多い。根石さんと出会ったことでその現実を知ることができました。
ローンを借りるという選択肢が自分にあることもわかっていない相談者さんはたくさんいます。今日お話を伺って、根石社長のようなプロフェッショナルがいることで、お客さんの想いを具現化し、ライフプランを伴走することができるのだなと改めて感じましたね。
根石氏:似ていると言うと語弊があるかもしれませんが、稲葉社長とはすごい共感・共鳴できるところが多いんですよ。お客様に対するスタンスも似ている。僕は「きれいごとが経済合理性を生み出す時代だ」といろんなところでお話しているんですが、それを堂々と正しくできる会社はこれから伸びるだろうと思っています。当社もそうなっていきたいですし、ハレノヒハレさんもそんな会社の一つなんだなと感じています。
稲葉:ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
