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語学学校で教えたい日本語の楽しさと日本のよさ
池袋から優秀な外国人留学生を世に送り出す
東京語学学校 理事長 島薫氏

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外国人留学生を対象に日本語教育や高等教育進学予備教育を行う東京語学学校(東京都豊島区)理事長の島薫氏。語学学校設立に至った経緯や、新型コロナウイルス流行時の苦労、そして理事長が考える「ハレノヒ」についてお話を伺いました
                  (聞き手:ハレノヒハレ 大塚辰徳 編集:内田勝治)

目次

7つの国や地域、150人の外国人留学生が在籍

まずは、東京語学学校の事業内容について簡単にお聞かせください。

島薫理事長(以下、島氏):外国人留学生に日本語を教えています。現在は7つの国や地域、150人の生徒が在籍しています。当校は進学コースのみなので、卒業後は基本的に日本の大学や専門学校に進学しますが、近年では就職する生徒もいます。

12名の先生たちが、日本語であいさつ程度しかできなかった学生を、最短1年半、最長2年で日本の大学や専門学校の授業が分かるレベルまで教育しています。

他の語学学校とは一線を画した取り組みはありますか?

島氏:多くの日本語学校は、現地の教育機関から学生を紹介してもらい、手数料を支払って学生を募集していますが、当校は現地の大学や高校、日本語センターに教育カリキュラムやオンライン授業を提供している点が大きな差別化ポイントだと思っております。今はネパール、バングラデシュ、ウズベキスタン、ベトナムと学校連携があり、ゼロから教育をして学生の質を担保しています。

また、来日して間もない時期から進学を意識したカリキュラムにのっとって授業を進め、受験に向けて着実な力を養成します。カリキュラムは学生の来日時期に合わせて数パターン用意していますが、細かい進度や内容は、実際の学生の学力、クラスの構成比などでその都度調整し、学生に合わせた授業展開をしているので、無理なく学習を進めることが可能です。1年目から教員が引率してのオープンキャンパスや学校説明会に参加し、自分の「やりたい」を明確化、早い段階から志望校を決定します。2年後の卒業まで、どうやったら各自のゴールに近づくか月1回の個人面談でヒアリングをし、調整していきます。

さらに2年目からは、卒業後の希望先に合わせてクラスを再編成し、効率で無駄のない準備をサポートしていき、同じ目的を持った学生同士、切磋琢磨し合いながら受験に向けて準備をします。出願のための志望理由書、研究計画書作成、その他書類作成、受験での面接練習は何回も行い、本番で個人の力がマックスに発揮できるよう入念な準備を行います。

学生には学内のWi-Fiを解放しているので、いつでも自分の端末で学習ができ、学校オリジナル教材のeラーニングで試験対策をしたり、パソコンやタブレットの貸し出しもしているので調べものをすることもできます。

教室以外でも学べる環境などはいかにして作り出していますか?

島氏:希望者に合わせて、サマースクール、スピーチコンテスト、地域での国際交流等、四季折々のイベントなど、課外活動等を実施しています。日本語に触れる場所は教室だけではありません。教室以外での日本語に触れることこそ、日本語力の飛躍のきっかけとなります。
様々なイベントを通じて、日本語力の向上、また異文化への理解を深めるチャンスとして、学びにつなげていきます。不定期ですが、OB・OG訪問もあり、学生間での意見交換を行っています。

どのような経緯で語学学校設立に至ったのでしょうか?

島氏:私は長崎から上京して服装・ファッション専門学校である文化服装学院(渋谷区)を卒業後、アパレル関係の仕事をしていました。海外で働いていた時期に、語学学校の学生募集を手伝うことになりました。フランスによく行っていたのですが、その後はネパールなどアジア圏への出張が多くなりました。

その後、帰国して、2017年に池袋で語学学校を設立することになりました。最初はビルを買わなければならず、都心で見映えがいいのは新宿といった場所になるのですが、池袋は学生や若い留学生がよく集まるので、生活していて楽しいという印象があり、最近ではアニメなどで特徴を出している街でもあるので、この地に設立して凄く良かったなと思っています。

設立時に大変だったことはありますか?

島氏:最初はビジネスパートナーもおらず、全て手探り状態からのスタートでした。ただ、当時は語学学校自体がトレンドに入っていた時期なので、学生募集にそこまで苦労はしませんでした。もちろん、誰でも入学させていい訳ではなく、生徒のクオリティは重要です。今でもいい人材を確保するために、引き続き頑張ってはいるのですが、そこには結構な時間を要したなという印象です。

入学の条件みたいなものはあるのでしょうか?

島氏:日本語がゼロレベルの留学生は入学することができません。ルールとして、日本語を150時間程度は勉強していないといけないんです。そのレベルチェックと、あとは日本でちゃんとした生活ができるかといったことを面接時に確認します。現地の生徒は、日本に来たいから勉強しているケースが大半です。

コロナ流行時には生徒数が60人ほどまで減ったことも

設立後に新型コロナウイルスが流行した時期もありました。

島氏:入国制限があり、新規の入学者が来日することができなかったので、本当に大変でした。帰国する人もいて、大赤字でしたね。生徒数は60人ほどまで減りました。オンライン授業もやりましたが、学生は日本で授業を受けるために学費を支払うので、オンラインであれば学費を払いたくないというのが現状です。現地でも授業はできなかったので、そちらの活動も全て閉じました。

当時、外国にあった語学学校はどの国がメインだったのでしょうか?

島氏:留学生は入国管理局に書類を出して合格しないと日本に来ることはできません。留学ビザの交付率は比較的低いのですが、都道府県によって変わります。例えば東京だと中国人への留学ビザ給付率が高いです。

最近は外国人を見かける機会も増えてきました。インバウンド効果を感じることはありますか?

島氏:当校への問い合わせはコロナが明けてからどんどん上昇しています。国によって違いは出ますが、何十倍もの競争率になるので、最終学歴の成績証明書を提出してもらい、区切っている国もあります。

日本語習得が早い国はありますか?

島氏:やはり母国語との関わりが非常に深いみたいです。日本語の文法と似ているから覚えやすいという生徒もいますが、大半の学生が日本語は難しいと言いますね。それでも学びたいというのは、日本は稼げるというのが大きな理由ではないでしょうか。ただ、世界的な競争率で見ると、日本が下降線を下っている点は否めません。ベトナムの学生が来なくなっているというのは、日本の力が弱くなっているのも原因としてあると思っています。

これまでトライアンドエラーを繰り返してきたと思いますが、創立以来の失敗は何でしょうか?

島氏:もう失敗ばかりです(笑)。やはり学生募集ですね。東京都は、留学ビザの交付率の変動が激しくて、過去のデータを参考に、次はこの国を攻めようと戦略を立てるのですが、変動が激しいとリスクが高く、新規開拓でかなりの失敗を繰り返してきました。

新規の生徒はどのように開拓していくのでしょうか?

島氏:昔はエージェントさんに紹介してもらうしかなく、信頼するしかない状態でお願いしていました。今では選択肢もかなり広がりました。例えば、現地の大学、高校、日本語センターとの教育連携をして開拓をしたりしています。

学生募集の権限は事務長に一任しています。私が自由に学生を入れていたら、学習意欲の低い生徒が集まってきたことがありました。エージェントさんとの信頼関係ができていれば、そこまでレベルの低い学生は送らないのですが、そこを見極めることができませんでしたね。

外国と違う文化やマナー…留学生の「フィルター」になる

留学生を預かる上で最も大切にしていることを教えてください。

島氏:日本にやってきた学生が初めに通るところが当校なので、フィルターの機能をきちんと果たすことを意識しています。日本と外国では文化やマナーが違います。当校を卒業した後、大学や専門学校、職場で言ってくれる人はなかなかいません。厳しいかもしれませんが、そこは言い続けています。

寮生活に関しては、まず掃除をする習慣がないんです(笑)。土足で上がったり、換気扇を知らない生徒もいて、部屋が油っぽくなったりと、想像を絶する状態になります。人に迷惑をかける行為については注意しています。自社寮ではなく、数十社の学生寮と契約を結んでおり、学生の希望に合わせた寮やアパートを紹介しています。寮によっては規則が厳しいところがあったり、それを守らなければ出て行かなければならないところもあります。

島氏にとってハレノヒハレはどんな存在でしょうか?

島氏:実は私が文化装飾学院に通っていた頃の友人が大塚さんのパートナーなんです(笑)。そこから家族ぐるみで親しくさせてもらっています。6、7年ほど前、大塚さんに学生保険の相談をしたところからハレノヒハレさんとのお付き合いが始まりました。学生が自転車で事故に遭った場合などに備え、最低限の保険はかけておかないと大変です

東京語学学校を設立して、一番の「ハレノヒ」はどんな時でしょうか?

島氏:日本語教育機関としての認可が下りた時は嬉しかったですね。語学学校は簡単に設立できるものではなく、合格率は3割に満たないなど、今は特に厳しくなっています。あと、交付率の結果発表はいつもドキドキします。交付率を決めるのは入管(出入国在留管理庁)なのですが、その中継を都道府県がやっています。最近はずっと100%なので、ありがたみがだいぶ薄れてきましたが、最初は「100%が出た!」と喜んでいました。

今後のビジョンを教えてください。

島氏:世界からどうやって日本を選んでもらうかというのが課題になってくると思っています。日本語学校で「日本のよさ」を発信していくのは凄く難しいですが、現地環境の整備はできます。競争に勝っていくためにも、現地での活動はとても大切です。

そのためにも、今後は世界で教育連携を増やしていくことを考えています。最近ではネパールで暴動が起きて、現地での活動が中止したことがありました。リスク分散もしないといけませんし、長期的に日本と関係がいい国を選びながら、拠点を増やしていかなければなりません。東南アジアをはじめとした多くの国と教育連携し、現地で先生の教育も手がけながら、教育の質を上げていければと思っています。

今日(取材日)は秋晴れの澄み切った青空が広がっています。人生を空に例えるとしたら、どのようなものになりますか?

島氏:曇り時々晴れですね。今は学校の規模を大きくする時期なのですが、こんなに頑張って認可を取ったのに、また取り直さないといけないなど、色々なことが重なっていて、あまり晴れ晴れしていません。ただ、基本的にこの業界はかなり盛り上がっているので、いずれは絶対に晴れると思っています。

これから日本への留学を望む外国人やハレ街メディアの読者に向けてメッセージをお願いします。

島氏:日本の文化や治安は、他国に比べて圧倒的に良いと思っていますが、日本人は島国の影響もあってか、外国人に対してあまりオープンではありません。ただ、どこも人手が足りていないのは明らかで、外国人の力を借りなければいけない状況は今後も絶対に変わりません。良い人材を送るためには、まず自分たちが努力していかないといけません。そのあたりをうまくマッチングしていけたら最高です。

ありがとうございました。

取材を終えて 撮影小話

大塚:島理事長とは私が18歳の頃からのお付き合いです。学生時代から見たことのないデザインやクリエイティブを持っていました。ビジネスに対するセンスもピカイチで、 認可を受ける際も、サクサクやってしまうんです(笑)。事業再構築補助金も、通常であれば中小企業診断士が入らないとできないのですが、ご自身で申請されました。士業がやることも自分でやってしまう。事務処理能力は抜群です。

島氏:大塚さんには今では保険だけでなく、資産運用や、お付き合いされている関連会社の人材紹介などもお願いしています。私の人付き合いは、全部大塚家にお願いしているところが多いです(笑)。

大塚:今後も、どんどん人材をご紹介していきたいです。島理事長は生徒の日本語レベルや性格も全て把握しているので、例えば外国人を雇いたいお客様がいれば、スムーズに紹介することができます。語学学校のお墨付きがついた留学生を紹介できるので、これほど心強く、ありがたいことはありません。保険も含め、色々と関連づけてやっていけたら面白いかなと思っています。島理事長、ありがとうございました。